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こんにちは! 農×弁護士! まずはちゃんとした弁護士になりたい。
2015-09-09 (水) | 編集 |
 本日司法試験の結果発表があり、合格していました。
 じわじわといろいろな思いが去来していますが、応援して下さった皆さまと、何より、好きにさせてくれた両親に感謝したいです。
 
 さて、当ブログについてですが、合格を区切りとして、いったん閉じたいと思います。

 人の秘密や会社にとってセンシティブな内容を取り扱うのが弁護士だと思います。私はまだ弁護士ではありませんが、修習生も守秘義務を負います。守秘義務を守るのは当然のことですが、「疑い」を想起させることもまた、避けるべきことではないか。しかし、他方で、「農×弁護士」(農業弁護士)という新ジャンルを掲げる者として、軌跡を残しておきたいという思いもあります。

 ここしばらく情報発信のあり方について考えてきましたが、情報というものの難しさを思うとき、ここはやはり慎重に行くべきだという結論に至りました。

 約5年間、ありがとうございました。
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2015-07-05 (日) | 編集 |



 関心は二点。まず、①中小企業法務とは何か。そして、②事業承継について。

 ところで、「農業法人」の数は14,600法人(2013年)。2000年からの10年強で約3倍弱へと増加している。その中には、農家が法人となったものも少なくないと思われるし、会社形態以外のものとして農事組合法人もあるから、いわゆる中小(零細)企業に近いものがどこまであるかは検討を要する。しかし、生産に特化してJAに出荷するというだけでは生き残れない、6次産業化をはじめとして様々なビジネスチャレンジをしなければいけないという共通認識があるとすれば、士業が必要とされている余地はあるかもしれない。
 ちなみに、「農業法人」には、農地を所有できる「農業生産法人」と、それ以外の「一般農業法人」があるとされる。企業の農業参入に着目するならば、その多くは改正農地法3条3項による賃貸借等によるものだろうから、「一般農業法人」の数が重要となる。それは、1261法人(2013年)。2010年には175法人であったから約7倍となっている。その内訳として、特定非営利活動をしていた法人が11%あるが、その他は食品関連産業や建設業など、いわゆる中小企業と言ってよいような気もする。
 したがって、士業から見て、農業をしている中小企業が約千社あり、農家の法人化も加味すれば約一万社規模の市場だと、言えなくもない。

 そして、中小企業でも農業でも共通して大きな問題になっていることとして、事業承継(あるいは事業継承)があると思う(例えば、アベノミクスで確かに倒産は減ったが、廃業が増えているなど)。そこで、前述の①②につながり、本書を勉強しなければならないこととなった。

 本書自体は農業とは全く無関係だが、中小企業法務に従事している、しかも弁護士が弁護士のために講座として執筆したもので、実務本と言えるような気がする。
 
 ベンチャー企業法務の章もあって、それはそれで興味深かったのだが、事業承継に戻ると、経営権を譲渡するとして、「①関係者(ステークホルダー)の理解、②後継者教育、③個人保証・担保の取扱い、④株式・財産の分配」があるという。このうち、「弁護士が腕を振るうことができる場面」は、③④とされていた。

 特に④において、例えばオーナー社長の場合、自社株をどのように承継するのか。実の子であればただの相続かもしれないが、それが難しい(継いでくれない)から問題となっているわけで、国の政策も第三者による引き継ぎを支援する方向へシフトする中、第三者への譲渡、贈与、遺贈、信託などいろいろ選択肢が考えられるが、それぞれにデメリット(例えば税金)や留意点もあると。

 ちなみに、農業においても、実の子ではない者が継ぐ場合には、田畑やトラクター、資材など一つ一つについて同様の問題が生じるような気がする。法人化することの一つのメリットは、後継ぎと実子による泥沼の相続バトルをある程度回避し得るところにあるのかもしれない。(それでも、例えば自社株をどうするのかで揉めるかもしれないことはあるが、一つ一つの資材などは法人の財産にしておけば、争点は自社株に集約されるかもしれないので、工夫はしやすいのかもしれない。)




2015-06-27 (土) | 編集 |


 特集記事は、「家業を引き継ぐということ」。

 つくば牡丹園代表・関氏のルポも、家業の引き継ぎという側面があったので、実質5軒の経営者のインタビュー等でした。牡丹園以外は、米屋、種苗小売店、漬物店、酒屋でした。

 引き継がれた理由や方法論は様々でしたが、特になるほどと勉強になったのが、(株)ウエルシードの塙社長ご夫妻の記事。

「種苗小売業は従来、地域に店を構えてその周辺の農家に種苗を販売するという地元密着型の商売をするのが常識」。それは今でもそうらしいのですが、しかし、社長ご夫妻は「その業界の常識を破り、ウエルシードを興して地域ごとに店舗を置くのではなく、事務所を拠点に全国に種苗を販売するという新たな商流を築」かれました。
 従来、そして今も多くが「地元密着型」であることにはもちろん理由があります。しかし、他方で、例えば「大規模化した生産法人が北海道から九州まで圃場を持ち自社で」「産地リレー」ができるようになる事例が出てきているとのこと。そのような法人にとっては、地方ごとに別々のところから種苗を買うよりも、ワンストップで、「販売先のニーズを汲み取った品種」の提案や「地域を超えた栽培指導」をしてくれるところが良いわけで、そこにニーズがあり、生き残りのヒントがあると。

 変革期を迎えていると言われている農業界にあって、変化に柔軟に適応しようという戦略の一つではないでしょうか。




2015-06-24 (水) | 編集 |


 著者の本間教授は、規制改革会議の専門委員であり、18年近く規制改革の仕事に関わっている(227頁)とのことですから、そちらの畑の先生だという前提で読むことにはなります。

 TPPについては賛否両論があり、特に農業界からは強い反対論が唱えられている印象がありますが(ただし、一枚岩ではないかもしれない※1)、既定路線であるならば、むしろTPP後の世界でどうやって生き残っていくのか、ご縁のあった目の前の農家さんと一緒に考えていく段階にあるのかもしれません。特に、ここ20年の世界的な流れであるとされる、①非関税障壁の関税化と、②関税の引き下げを考えるとき、それはTPPだけではなく、WTOはもちろん、FTAやEPA、さらにRCEPやFTAAPでも共通のテーマですので、(仮にTPPは阻止できたとしても)猶予期間が長いか短いかの違いしかないのかもしれません。

※1 例えば、最近のオイシックス社長インタビューで、「当社の取引先の農家では、2011年の段階で、過半数がTPPに賛成だった」という発言があった。(ロイター、2015年6月19日付)
http://jp.reuters.com/article/JPdeals/idJPKBN0OY0WL20150619?sp=true

 反対運動は目立つから、農業関係者みんなが反対しているかのような印象を受けてしまう。しかし、実際には反対運動を積極的にはしていない層が存在する。その中には、(表立っては意見表明できないものの)内心では賛成している層も一定数いるのではないか。特に、先進的な取り組みを行って、周りからはやっかみを受けながらも着々と競争力をつけてきた層は、むしろこれをチャンスであると捉えている、という事態も予想されるかもしれない。



2015-06-22 (月) | 編集 |


 監査法人トーマツによる「金融機関をはじめ農業に関心を有するすべての方が農業ビジネス業界の基礎的な知識を広く理解するための入門書」。

 農業弁護士構想の4つの柱のうち、まずはビジネスという側面からアプローチするのであれば、それはもしかしたら金融機関の視点に近いかもしれないと考えました。金融機関と顧問弁護士とでは、お金を貸すことと法的助言を行うことという違いはありますが(それはもちろん大きな違いですが)、自らが経営を行うわけではない第三者という点では共通しています。また、(金融機関によるとも思いますが、)濃淡の差はあれど経営への助言を行うのであれば(例えばABLは構造上それが行われやすい気もします)、助言者という点でも共通します。そして、例えばコンプライアンスに口出しをするのであれば、助言の内容面でも重なりがあることになります。あるいは、一般論として、例えば大型M&Aで金融機関と弁護士事務所がタッグを組んだという話を聞いたような気がしますし、これは金融機関ではありませんが、ワンストップで経営コンサル機能も果たすことができる弁護士法人が出てきている印象もあります。

 監査法人は監査をするわけですが、トーマツさんは現に農業分野にも乗り出しているということで、監査の視点から書かれた金融機関向けの入門書、という立ち位置は興味深くもありました。

 あくまで入門書なのでこれで全てが分かるわけではありませんが、どういう項目が重視されているのかは伝わってきました。今後はそれらを一つ一つ掘り下げていくことになります。また、ロースクール時代、会社法の講義で、会計学の入門書ぐらいは自習しておくべきだと教授が力説していた理由がよく分かりました。会社法においても、貸借対照表や損益計算書などは出てきますが、手続論が中心で、そもそも論を掘り下げることはあまりないような気がします。

 それから、「農業」と一括りにすることの危険性を再確認しました。例えば、流通構造一つとっても、米、青果物、食肉、牛乳乳製品で全く違いますね。生産についてもそうですが、なぜか農業分野では「農業」と一括りにして論じられることがままあるように思います。例えば「工業」、あるいは「商業」と括ることと比較してみるとよいかもしれません。もちろん、農業分野の共通項はあると思いますので、危険性を踏まえて敢えて一括りにすることはありです。